1973年7月4日(水)――『スーパーロボット レッドバロン』放送開始!
……新たな鋼鉄伝説が幕を開けた……。
そこで誕生36年を記念して、メイン監督である鈴木清氏にお話を伺った。

『アイアンキング』撮影・監督
『スーパーロボット レッドバロン』監督

鈴木 清スペシャルインタビュー PART2
取材・構成/岩佐陽一

鈴木清

 

――それではいよいよ、鈴木さんが本格的な監督デビューを果たされました『スーパーロボット レッドバロン』にお話を移しまして。
鈴木 今観ても、このレッドバロンのデザインというのは、なかなか魅力的だよね。もちろん、マッハ(バロン)(編注:鈴木氏が『レッドバロン』の後に手掛けられた巨大ロボット特撮番組)になっていって洗練されていくんだけど。渡辺(一彦/本作の企画担当で日本テレビ音楽のプロデューサー)さんとも話すんだけど、やっぱりこの画(『レッドバロン』の映像)を観ると、涙が出るんだよ、ホントにね。苦労が多かったっていうか。つまりシルバーにしろすべてがウェットスーツタイプっていうのは、ウルトラマンを超えらんないよ、やっぱり。“なんとかならないか?”っていうことで生まれたのがこの企画な訳で。
 だから僕らの想いってやっぱり、『ウルトラ』のときの……最初の『ウルトラマン』(66年)を創ったときの企画者たちと同じ想いなんだよね。あのときは僕は末端の一技術者だったんだけども。そういったことでは、『レッドバロン』のときには割に企画の近い所にいたから。非常に想い入れが強い作品ですよ。
――『レッドバロン』は企画のどの辺りから、噛まれていたのでしょう?
鈴木 これもド頭っていうのはやはり、日本テレビ音楽さんと日テレさんで作っていく訳なもんで。ただ、こういった“ロボットものをやろう!”っていう気運というのは流れてくるんで。 “じゃあ、どうしよう? あゝしよう?”っていう風なことで。受け皿としてはやっぱり“新しい挑戦”ということで、随分色々、技術者同士でミーティングしましたよ。特にロボットの硬質感と動きについて。
――当時、TVアニメーションの『マジンガーZ』(72年)がヒットし始めていた頃ですが、その辺りは参考にされたのでしょうか?
鈴木 いや全く参考にしなかった。つまり僕らのロボット感ってね、アニメと実写はもちろん違うんで、参考にしようがないんでね。“参考に”っていうのはむしろ、ウルトラマンを意識して、“ウルトラマンにできないことをロボットものでやろう!”っていうね。だから、腕がグルグル廻るとか首がグルグル廻るっていうのは、ウルトラマンには絶対できなかった訳で。その頃はものすごく“ロボットだからできるんだ”っていう意識があったし。腕が飛んだり何が飛んだりっていうのもみんなそうだし。ある部分、今度はぎこちない動きがまたロボットとして……アニメだったらやっぱりぎこちなくないでしょう? だからそれは参考にならないんだよね。実写のある限界もあるし。それはまさにアナログの限界でもあるし……それがロボットの良さでもあったし。これ、今作ったら全然違うんだと思う。それこそアニメに近い動きになっていくよね、きっとね? CG でやっていったらぎこちない動きが消えちゃうよね? それが果たしていいのかどうか? っていうのはちょっと分からないけど。
 とにかくローバジェットで貧しかったからなぁ、まずは(苦笑)。知恵で乗り越えるしかなかったんですよ(笑)。

鈴木 清

――それでは最後に、熱烈な『アイアンキング』、『レッドバロン』ファンにメッセージをお願いします。
鈴木 『レッドバロン』に拘らずヒーローものっていうのは、小さい子供の時代に刻まれた“宝”だと思うので……『ウルトラマンメビウス & ウルトラ兄弟』(06年)をやったときに、観客のお父さんから“あの頃のヒーローに会えたんじゃなくて、あの頃の自分に会えて良かった”っていうコメントをもらったんです。“あゝ、これなんだ!”と思って。それで前作の、最後の僕の戦いとしてあゝいう映画(『大決戦!超ウルトラ8兄弟』)を製作したんだけれども。つまり、みんなが“宝物”を心の深層に隠し持っている訳ね。それがなかなか覚醒して、弾かれて表に出てこない。持ったまんまで終わってる……っていうんじゃなくて、“折角[宝物]を持ってるんだから、もう一度あの頃に帰ってみたら?”っていう想いがあるんですね。“覚醒しなさいよ”っていう。“そうすると二度人生が味わえ楽しめますよ!”。是非! みなさんが持ってるあの頃の“宝物”を表に出して、もう一度浸ってほしいと思います。
一粒で二度美味しい精神で……。
――ありがとうございました。

レッドバロン レッドバロン

かつてない硬質感を誇るレッドバロンのコスチュームは、川崎製鉄がベースを作成。それをヒルマモデルクラフトがブローアップしたもの

レッドバロン対バイキングIII世(第6話登場)。バイキングIII世は、スウェーデンの 海洋警備ロボットを鉄面党が戦闘用に改造・強化したという設定。秀逸なデザインだ

 
PART1はこちら
(2009年 6月24日)
 

Profile
すずき・きよし:撮影・監督・プロデューサー。1942年生。大阪府出身。'64年に円谷プロに入社。『ウルトラQ』(66年)の撮影助手を経て『ウルトラマン』(66年)後期よりキャメラマンに昇格し、『ウルトラセブン』(67年)や『孤独のメス』(69年)等で活躍。『スーパーロボット レッドバロン』で監督デビューを果たし、『少年探偵団』(75年)からはプロデューサーも務めるように。以降、『あいつに恋して』(87年)や『勝利者たち』(92年)などの映画を企画・プロデュース。チーフ・プロデューサーとして'08年公開の『大決戦!超ウルトラ8兄弟』を大ヒットに導いたことは記憶に新しい。